『それでいい。博士を困らせることはしないように』
『いや、まあ……。それもあるけど……』
『そんなふうに考えないでくれよ~! ボクだって気にしてないぞ、いつものことじゃないか、なあ?』
博士にダメと言われたら納得するしかないっていうのはごもっとも。でも、ボクが考えを変えたそれ以上の理由は1号で。そして拗ねてなんていないっていうのも本当だ。1号からあれこれ言われてばかりのボクだけど、それで不貞腐れたことなんてない。これからも起こらないと誓ってもいい。
じゃあ、1号の何がきっかけで、こいつを諦めたのかっていうと。
『我々は完璧な人造人間だ。バグなどふさわしくない』
そんなふうに断じるくらい、1号はこいつのことを気に入っていないようだった。ボクがこいつを求めた理由は、1号との会話のネタが増えればいいな、くらいのもの。だから、1号が良いと言ってくれなければ意味がないんだ。たとえ、博士からの太鼓判が押されたとしても。
(それにしても……。ふさわしくない、か)
小さな共通のバグに頼ってまで、ボクは1号とかかわりたかった。人造人間ガンマとしての任務に留まらないことまで、色んなことを話したかった。この気持ちも、不必要なバグと思われてしまうんだろうか。
(——ダメだよな、それじゃ……!)
やっぱり、認めてもらいたい。今諦めかけたこれはもうすぐ消去されてしまうのかもしれないけど、僅かな間、ほんの少しだけでも。そして、このバグだけじゃなく、ボクのことを認めてもらいたい。そんな想いだって乗せられるから。
「なあ1号! この機能が没収されちゃうより前に、やっておきたいことがあるんだ」